貸金業務取扱主任者資格試験は、日本貸金業協会が指定試験期間として、内閣総理大臣の指定を受けるべく準備を進めている、新しく創設される予定の国家資格です。
ここでは、現行の研修制度は割愛して、これから始まる、新制度である国家試験概要について説明します。
現在は、試験日などまだ決定してないことがありますが、平成21年6月までに施行される改正貸金業法第3条施行以降、試験団体の指定があり、その後試験日程が発表されます。
試験団体は、日本貸金業協会が準備を進めています。
試験は毎年少なくとも一回行うということですが、初年度は複数回の実施が予定されているようです。
試験の難易度として、他の国家資格が始まった当初を考えると、比較的平易だと考えられます。
新制度により、これまでの研修制度が廃止されることや、この資格が必置資格という性格を考えると、
相当数の資格取得者が必要なため、難易度、合格率ともに上がると予想されます。
50問出題中、45問以上が法律科目ということで、「貸金」ということから、金融系資格試験という感じですが、 実質法律資格試験です。
4分の1が、民法や商法、民事訴訟法、破産法、民事再生法など難易度は違えど、司法試験や司法書士で出題される科目も出題されます。
半分以上は、貸金業法や出資法、利息制限法など貸金業に関係する法律が出題されます。
試験の性格 | 国家資格試験 |
試験期間 | 年三回 (8月末、11月下旬、12月下旬) |
目的 | 貸金業に関して、必要な知識について行う |
受験資格 | 国籍、年齢、性別、学歴等に制限なし |
試験基準 | 貸金業に関する実用的な知識を有するかどうかを判定することに基準を置く |
試験内容 |
|
問題数 | 50問 |
予想試験時間 | 2時間 |
出題方式 | 4肢択一による筆記試験 マークシート方式 |
受験手数料 | 8,500円 |
受験地 試験会場 |
札幌、仙台、千葉、東京、埼玉、横浜、高崎、名古屋、金沢、大阪、京都、神戸、広島、高松、福岡、熊本、沖縄 |
試験科目 | 出題数の目安 |
---|---|
1. 法及び関係法令に関すること | 28〜30問 |
2. 貸付け及び貸付けに付随する取引に関する法令及び実務に関すること | 12〜14問 |
3. 資金需要者等の保護に関すること | 4〜6問 |
4. 財務及び会計に関すること | 2〜4問 |
試験科目全体 | 50問 |
この分野・内容全般から出題されます。
- 貸金業法
- 貸金業法施行令
- 貸金業法施行規則
- 出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律
- 利息制限法
- 貸金業者向けの総合的な監督指針(金融庁)
- 貸金業の業務運営に関する自主規制基本規則
- 苦情処理及び相談対応に関する規則
- 「苦情処理及び相談対応に関する規則」に関する細則(日本貸金業協会)
この範囲から12〜14問出題される予定です。
法分野 | 関係法令 | 分野・内容 | |
---|---|---|---|
中心法令 | 関係法令 | ||
民事法(民法・商法を中心とするその他の関連法令) | (1)民法 | 第一編総則〜第三編を中心に第四、五編も含む。 | |
(2)商法 | 第一編総則、第二編第一章総則、同第十章保険とする。 | ||
(3)会社法 | 組織形態、代表権、法人格に関する事項とする。 | ||
(4)手形法・小切手法 | 全般とする。(但し、貸金業の業務に必要なものとする。) | ||
(5)電子記録債権法 | 全般とする。(但し、貸金業の業務に必要なものとする。) | ||
(6)動産及び債権の譲渡の対抗要件に関する民法の特例等に関する法律 | |||
(7)電子消費者契約及び電子承諾通知に関する民法の特例に関する法律 | |||
(8)不正競争防止法 | |||
民事手続法(民事訴訟法、民事執行法及び民事保全法を中心とするその他の関連法令) | (1)民事訴訟法 | 全般とする。(但し、貸金業の業務に必要なものとする。) | |
(2)民事執行法 | |||
(3)民事保全法 | |||
(4)裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律 | |||
(5)民事調停法 | |||
倒産法(破産法、民事再生法を中心とするその他の関連法令 | (1)破産法 | 全般とする。(但し、貸金業の業務に必要なものとする。) | |
(2)民事再生法 | |||
(3)会社更生法 | |||
(4)特定債権等の調整の促進のための特定調停に関する法律 | |||
(5)会社法 | 第二編株式会社第九章清算とする。 | ||
刑事法(暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律、及び犯罪による収益の移転防止に関する法律を中心とするその他の関連法令) | (1)暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律 | 第一章総則、第二章暴力的要求行為の規制等とする。 | |
(2)犯罪による収益の移転防止に関する法律 | 全般とする。(但し、貸金業の業務に必要なものとする。) | ||
(3)刑法 | 第一編第七章犯罪の不成立及び刑の減免、同第八章未遂罪、同第十一章共犯、第二編第十七章文書偽造の罪、同第十八章の二支払用カード電磁的記録に関する罪、同第二十章偽証の罪、同第三十五章信用及び業務に対する罪、同第三十七章詐欺及び恐喝の罪、同第三十八章横領の罪とする。 | ||
(4)不正アクセス行為の禁止等に関する法律 | 全般とする。(但し、貸金業の業務に必要なものとする。) |
この分野・内容から貸金業の業務に必要なものが出題される予定です。
法分野 | 関係法令 |
---|---|
個人情報保護法(個人情報の保護に関する法律を中心とするその他の関連法令等) | (1)個人情報の保護に関する法律 |
(2)金融分野における個人情報保護に関するガイドライン(金融庁) | |
消費者保護法 | (1)消費者契約法 |
経済法(不当景品類及び不当表示防止法を中心とするその他の関連法令等) | (1)不当景品類及び不当表示防止法 |
(2)「消費者信用の融資費用に関する不当な表示」の運用基準(公正取引委員会) |
これまで、ほとんどが法律科目だったものが、2〜4問財務会計科目が出題される予定です。
家計診断 | (1)家計収支の考え方(収支項目・可処分所得・貯蓄と負債) |
(2)個人の所得と関係書類(申告所得・源泉徴収票等の関係書類) | |
財務会計 | (3)企業会計の考え方(企業会計原則) |
(4)財務諸表(損益計算書・貸借対照表・キャッシュフロー計算書・その他) |
(1) 「貸金業法」、「出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律」、「利息制限法」は貸金業法の完全施行を含む範囲とする。
(2) 「貸金業者向けの総合的な監督指針」、「貸金業の業務運営に関する
自主規制基本規則」、「苦情処理及び相談対応に関する規則」、「『苦情処理及び相談対応に関する規則』に関する細則」は貸金業法の3条施行を含む範囲とする。
(3) 上記以外の関係法令は平成21年1月1日現在施行されているものを対象とする。